母の隣の人
母は、母の隣の人、私達には見えない、
数人の人と生活してるようだ。
深夜、トイレを済まして、母を部屋に連れて行く時、
「もう1人、トイレにいたから待ってて。」と言う。
私はとても怖がりなので、
初めて聞いた時は、ゾッとしてしまった。
ベッドに入ってから、母のお喋りが始まる。
「住んでるところは?」 「〇〇村」
「アレ、私と同じ」
「生まれた日は?」 「昭和〇年〇月〇日」
「アレ、私と同じ」
「あなたの名前は?」「〇〇山〇〇子」
「アレ、私と同じ名前」
母が質問して、母が答える。
母の脳が、母に色々見せているのだろう。
人間の脳は不思議だ。
認知症でなくとも、現実に無いものを私達の脳が
見せたりするらしい。
マトリックスの映画を思い出す。
現実ってなんだろう。今の現実は実際に存在してるのか。
何て思ったり…
母の隣の人は、いないと解っているが、やはり、怖い。
猫が突然、空中をにらむ事があったなあ。
りゅう、どこみてるの?
本当に、母の隣の人、いないよね。